【ブラジル全国選手権2023】第18節(1/2)

投稿者: | 2023年8月5日

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全国選手権第18節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/08/05 サントス(SAN) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/08/05 ゴイアス(GOI) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/08/05 インテルナシオナウ(INT) x コリンチャンス(COR)
・2023/08/05 フルミネンセ(FLU) x パウメイラス(PAL)
・2023/08/06 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x グレミオ(GRE)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第18節(2/2)
・2023/08/06 サンパウロ(SAO) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
2023/08/06 クルゼイロ(CRU) x ボタフォゴ(BOT)
2023/08/06 コリチバ(CFC) x RBブラガンチーノ(RBB)
2023/08/06 バイーア(BAH) x アメリカ・ミネイロ(AME)
2023/08/06 クイアバ(CUI) x フラメンゴ(FLA)

全国選手権第18節 試合概要

サントス(SAN) 1-1 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=HVYSgqMs6eo
(CAP) : 30' #92 パブロ(Pablo, 1992)[#5 フェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)]
(SAN) : 90+6' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   サントスは全国選手権4勝5分8敗勝点17の15位。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権8勝3分6敗勝点27の7位。

得点シーン

(CAP)前半30分 :
相手陣左サイドでパスをブロックしてこぼれたボールを前に運び、中央のVOLフェルナンジーニョに戻す。守備のため自陣まで戻っていたFWパブロがディフェンダーにマークされることなく右サイドを上がりペナルティエリアに侵入すると、VOLフェルナンジーニョからパスを受けシュート。これがゴールネットを揺らす。
   FWパブロは、2023年は州選手権で16試合9得点を記録し得点王となるが、他の大会では交代出場がメインとなる。全国選手権は2試合連続ゴール、12試合(6試合に先発)663分の出場で3得点2アシストを記録。高さがありつつも前後左右にポジションを変え味方のスペースを作り出すプレーを得意とし、多くの監督の下で重用される。
(SAN)後半45+6分 :
相手陣深い位置でのスローインからゴール前の混戦で放たれたシュートにディフェンダーの開いた肘がボールに当たりPKを獲得。これをFWマルコス・レオナルドがゴールネット上部にボールを突き刺し、土壇場でサントスが同点。
   FWマルコス・レオナルドは2試合ぶりのゴール。最近の5試合で6点目のゴールとなり、U-20W杯により5試合に欠場しながらも通算7得点とし、得点ランキングは3位に浮上。現在の欧州移籍ウィンドウでの移籍が見込まれていたが、現時点で正式なオファーは届いていない。守備的な戦術、試合が多い中で孤立する場面も多く、本来のプレーができていないことがオファーが届かない原因となっているのだろうか。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:2‐3 (0-2) ⇒ 前後半:6-3(2-2)
パス成功率: 前半:87% 81% ⇒ 前後半:86% 81%
   サントスは、パウロ・トゥーハ(Paulo Turra)監督就任以降、7試合で1勝3分3敗、直近では4試合勝ち星から遠ざかっている。ここ3試合は中盤、前線のメンバーを固定する中、最終ラインが固まらず、日替わりのメンバーとなる。
   試合は、アトレチコ・パラナエンセにボールを持たされ、中を閉じた守備網の外や最終ラインでのパス回しを繰り返し、攻撃の糸口が見いだせない。すると、自陣でパスをブロックされボールを失ったプレーを起点に、相手のゴールに向かい上がる選手へのマークがおろそかになり失点。
   後半はリードを許しながらも、試合内容は前半から代わり映えせず、選手交代は後半20分まで行われない。後半20分の交代は疲れが見えた選手の交代、後半25分になりボランチを下げフォワードを投入する戦術的な選手交代。後半37分にもサイドバックからサイドバックの交代を実施したのみで2枚の交代枠を残し試合終了。
   試合終了寸前には相手陣深い位置でのスローインからゴール前の混戦で獲得したPKで同点に追いついたものの、流れからは決定的なシーンを作り出せなかった。
   8月4日にVOLグスタヴォ・ノナト(Gustavo Nonato, 1998)の獲得を発表。2022年にインテルナシオナウからの期限付き移籍先のフルミネンセでセグンドボランチとして攻守の繋ぎ役、チャンスメーカーとしてブレーク。2022年9月にPFCルドゴレツ・ラズグラド/BULに移籍。この度は2024年7月末までの期限付き移籍での加入。プレースタイルはまさしく現状に必要な前後の繋ぎ役タイプだけに、クラブデビューが待ち遠しく思われる。
   この試合で積み上げた勝ち点は1。降格圏目前の16位に転落し、17位までの勝点差は3。17位バイーアの結果次第で降格圏に沈む。
   次戦は、8月13日の全国選手権第19節フォルタレーザ戦がアウェイで予定されている。

   アトレチコ・パラナエンセは、今節はリベルタドーレスに挟まれた試合となるため、一部を主力に代え控え選手を先発に起用。
   ウェズレイ・カルヴァーリョ(Wesley Carvalho)監督就任以降、12試合4勝3分5敗。ツーライン、特に最終ラインの4人とボランチ2人がコンパクトな陣形を保ち、中を閉じて守り、両サイドへ素早くボールを運び攻撃を組み立てる試合運びは、押し込まれて後手に回ることが多い。特に上位の比較的攻撃的なチームとの対戦では、守備的になりすぎて自陣でのプレーに終始しゴールをこじ開けられる試合が多く、直近のリベルタドーレスは3-1の完敗を喫している。
   この試合では、サントスにボールを持たせる戦術が功を奏し、前半30分に相手のミスをつきFWパブロのゴールで先制。前半終了間際にもFWパブロがチャンスを作り出すもSBマジソン(Madson, 1992)のシュートはサントスGKの好守にゴールを阻まれる。
   後半も攻撃を捨て(後半のシュート数ゼロ)守備網を固めるも、試合終了間際に不運なハンドでPKを献上し、1-1に持ち込まれ試合終了。6月半ばまで指揮を執ったサントス現監督でアトレチコ・パラナエンセ前監督パウロ・トゥーハ氏の目に、この試合でのアトレチコ・パラナエンセの戦いぶりはどのように映っただろう。
   次戦は、中2日で8月8日にリベルタドーレスでのボリバル戦2ndレグがホームで行われる。2点のビハインドを負った試合でどのような采配が見られるだろうか。全国選手権は折り返しの第19節、8月15日にホームでクイアバ戦が控えている。

ゴイアス(GOI) 1-0 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rcBCrwJmgdI
(GOI) : 53' #xx オウンゴール(GC)[]

見どころ(試合前の順位)

   ゴイアスは全国選手権4勝4分9敗勝点16の16位。
   フォルタレーザは全国選手権6勝5分6敗勝点23の11位。

得点シーン

(GOI)後半8分 :
自陣右サイド寄りでのボール奪取から、相手陣左サイドへボールを展開。カウンターを仕掛けることはできなかったものの、ドリブルやパス回しで30秒近くボールを動かすと、最後は左サイドからこの一連のプレーに最も絡んだVOLモレリ(Morelli, 1997)がシュート。ボールはディフェンダーにブロックされたもののゴールに向かい、再びディフェンダーがクリアを試みるも、クリアボールはゴールに吸い込まれゴイアスが先制点を奪う。
   VOLモレリは、全国選手権は4部ながらパラナ州選手権で準決勝に進出したマリンガでのプレーが評価され、2023年3月31日に期限付き移籍でゴイアスに加入。全国選手権1部でのプレーは初めてとなるが、ボランチとして守備に奔走しながらも攻撃時にはゴール前に顔を出すプレースタイルで監督の信任も厚く、主力として全国選手権14試合、コパ・スウアメリカーナ6試合と多くの試合に出場している。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:39% 61% ⇒ 前後半:38% 62%
シュート(枠内): 前半:5‐7 (2-3) ⇒ 前後半:10-10(4-4)
パス成功率: 前半:78% 88% ⇒ 前後半:78% 88%
   ゴイアスは、コパ・スウアメリカーナで決勝ラウンドに駒を進めているが、全国選手権は降格圏付近に低迷しており、日程が詰まる中、どちらに重きを置くかが焦点となる。
   週中のコパ・スウアメリカーナ、決勝ラウンド一回戦1stレグでは先週末の全国選手権から約半数のメンバーを入れ替えて試合に臨んだが、後半の早い時間帯に退場者を出し立て続けの失点を喫し0-3の完敗。この試合は、前節とほぼ変わらない先発陣で臨む。
   この試合は守備的に入り、中盤で厳しいマークを仕掛け、時には最終ラインに5人、6人の選手が並ぶことで、フォルタレーザに好機を与えない。一方、前節クラブデビュー戦での初ゴールを受け先発に抜擢された高さのあるFWマテウス・ビドゥ(Matheus Babi, 1997)がカウンターを牽引する役を担うがチャンスらしいチャンスを作り出すことができない。
   前半35分、CBシジマール(Sidimar, 1992)が負傷で交代を余儀なくされるアクシデントが発生するが、約2か月ぶりの出場となるCBエドゥ(Edu, 2000)がしっかり穴を埋め、組織的な守備に綻びは生まれない。
   後半8分に相手陣でボールを前後左右に動かしオウンゴールを誘って先制点を奪うと、前がかりになるフォルタレーザに対しツートップを交代。ボールの出どころへのプレスとプレスと連動したカウンターから、後半23分、後半42分とゴールネットを揺らす。しかし、前者はラストパスがオフサイド、後者はボールを奪ったプレーがファールと判定され追加点は認められない。
   追加点が奪えないものの、最後まで守備に対する集中力が途切れることなく、無失点で試合を終え1-0の勝利。
   全国選手権での直近4試合は失点がわずかに1と守備が再構築され、2勝2分で勝ち点8を積み上げ、暫定ながら15位に浮上、降格圏までの勝点差も4と広げた。
   次戦は、中3日でホームでのコパ・スウアメリカーナ。1stレグで3点のビハインドを負ったが巻き返すことができるだろうか。全国選手権は8月13日に第19節アウェイでのアメリカ・ミネイロ戦。残留争いから抜け出すためにも勝ち点3を勝ち取りたい。

   フォルタレーザも、コパ・スウアメリカーナは決勝ラウンドに進出。週中の決勝ラウンド一回戦1stレグはアウェイで1-0の勝利を収めたものの、全国選手権は3連敗中。この試合は、初出場となる左SBエスコバル(Escobar, 1997)とCBトビアス・フィゲイレード(Tobias Figueiredo, 1994)、コパ・スウアメリカーナに続く2試合目となるVOLペドロ・アウグスト(Pedro Augusto, 1997)、5試合目となるFWマリーニョ(Marinho, 1990)と移籍加入選手を先発に並べる。
   試合は、中盤の速いチェックと人数をかけスペースを消すゴイアスの守備に手こずりながらも、両サイドからのクロスや中央での縦パスを有効に使いゴイアスゴールに迫る。しかし、ゴールを奪うまでには至らない。
   新加入選手については、CBトビアス・フィゲイレードはオウンゴールを犯したものの相手のワントップへ当てるボールを次々とカット、VOLペドロ・アウグストもセカンドボールの回収やカウンターの芽を摘むプレーを披露。FWマリーニョもサイドからのクロスやサイドから中央へ切れ込んでのシュートなど奮闘するが少し空回り気味となった。
   最後までゴイアス守備陣を崩すことができず、0-1の敗戦を喫し、全国選手権は4連敗。苦しい戦いが続く。
   次戦は、中2日で8月8日にコパ・スウアメリカーナがホームでの2ndレグ。8月13日の全国選手権第19節はホームでのサントス戦。

インテルナシオナウ(INT) 2-2 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=lchnVMCLGKs
(COR) : 13' #8 ヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)[#6 ファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)]
(INT) : 17' #8 ブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1989)[]
(COR) : 86' #6 ファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)[PK]
(INT) : 90+9' #9 ルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)[#13 エネル・バレンシア(Enner Velencia, 1989)]

見どころ(試合前の順位)

   インテルナシオナウは全国選手権6勝5分6敗勝点23の12位。
   コリンチャンスは全国選手権5勝4分7敗勝点19の14位。

得点シーン

(COR)前半13分 :
相手陣中央やや左からMFヘナト・アウグストが左サイドライン際にボールを送る。ボールを受けたSBファビオ・サントスが時間を作る間にMFヘナト・アウグストは前へポジションを移し、ペナルティエリア内で戻りのボールを受ける。すると、小さい振りのシュートでGKのニアサイドにボールを流し込みコリンチャンスが先制。
   MFヘナト・アウグストは、あらゆる要素でレベルの高いプレーを見せ続ける。このプレーでは攻撃の起点としてボールを預けると緩急をつけたフリーランニングでマークを外しペナルティエリアに侵入。浮き球を足元でゴール方向に落とすと、高いシュート技術でゴールを奪う。多くの若い選手たちの見本となるプレーをピッチで披露する1988年生まれのベテランの技術は衰えることを知らない。
(INT)前半17分 :
中央からの攻め上がりから左ペナルティエリア入口にボールを送り守備ラインを下げ、再び大きく広がる相手陣中央へボールを戻す。中央でボールを受けたMFマテウス・ジアス(Matheus Dias, 2002)はペナルティエリア内右深くへスルーパス。これに反応したFWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)がゴールライン際からクロスを送ると、GKカシオ(Cássio, 1987)が弾いたボールにMFブルーノ・エンヒキが詰めゴール。
   MFブルーノ・エンヒキは、7月19日にインテルナシオナウに加入。2014‐16年に在籍したコリンチャンスを相手に、加入後2試合目にしてクラブ初ゴールを挙げた。
   絶妙なスルーパスを配給したMFマテウス・ジアスは、インテルナシオナウ下部組織出身で2022年2月の州選手権で19歳のデビュー。トップチームに昇格した2023年は少しずつ試合に出場し経験を積んでいる。このゴールの一連の流れは、就任後なかなか結果でないエドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督が前任のアトレチコ・ミネイロでしばしば見せた展開。空いたスペースにポジションを取り、ディフェンダーの逆をつく約25mのパスを通したMFマテウス・ジアスが、今後のチーム復調のカギとなるかもしれない。
(COR)後半41分 :
後方からのボールにFWユーリ・アウベルトが抜け出しを図りペナルティエリアに侵入すると、並走したディフェンダーに背後から倒されPKを獲得。このPKをSBファビオ・サントスがGKの飛ぶ逆サイドにゴールを決めコリンチャンスが土壇場で勝ち越し。
   SBファビオ・サントスは、サンパウロ下部組織出身で2004年1月の州選手権でデビュー。2005年U-20W杯で7試合1得点を記録。2006年7月から半年間鹿島アントラーズ/JPNでプレー。コリンチャンスでは2011‐2015年に続き2020年10月から2回目の在籍。2023年は若手を積極的に起用するルシェンブルゴ監督の5月の就任後、SBマテウス・ビドゥ(Matheus Bidu, 1999)と併用されながらも、全国選手権は11試合に出場、この試合では1得点1アシストを記録。
(INT)後半45+9分 :
相手陣右サイドライン際をSBイゴル・ゴメスの縦のパスに上体のフェイントでマークを外したFWエネル・バレンシアが中央にクロスボールを供給。FWルイス・アドリアーノがドンピシャのタイミングで頭を合わせゴールネットを揺らす。
   FWルイス・アドリアーノ(1987)とFWエネル・バレンシア(1989)のベテランの競演によるゴール。一方のコリンチャンスはSBファビオ・サントス(1985)がマークを外され、CBジウ(Gil, 1987)が競り合うことができず失点。対照的な結果となった。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:56% 44% ⇒ 前後半:55% 45%
シュート(枠内): 前半:7‐5 (1-2) ⇒ 前後半:14-9(4-3)
パス成功率: 前半:87% 87% ⇒ 前後半:86% 86%
   インテルナシオナウは、リベルタドーレスに挟まれた今節のスタメンに控え選手を中心に起用。
   エドゥアルド・クーデ監督が前任のアトレチコ・ミネイロで見せた高い位置でのプレス、時には相手陣でゴールラインやサイドラインまでにおよぶ前後左右に少ないタッチ数のパスでの揺さぶり、相手守備を引き出すためのミドルシュート、自陣からの鋭いカウンターなどが、この試合では立ち上がりから見られる。
   前半10分に相手陣でのボール奪取からMFマウリシオ(Maurício, 2001)がクロスバーを直撃する惜しいシュート。前半13分に先制点を奪われるが、4分後の前半17分に相手陣を広く使った崩しで同点。
   コリンチャンスに試合の主導権を握られる時間帯もあるが、その時間帯を凌ぎ主導権を奪い返すなど、白熱した展開が続く。
   後半も比較的に長くボールを保持し優位に試合を進めるが、コリンチャンスのカウンターに堪らずPKを与えてしまい逆転を許すと、後半アディショナルタイムに退場者を出してしまう。これまでかと思われた終了間際にゴールをこじ開け引き分け。
   エドゥアルド・クーデ監督が指揮を執り始め4試合目の試合。未勝利は続いたが、監督の戦術が浸透し始め、攻撃面では大きな改善が見られ今後に期待が持てる試合内容だった。
   次戦は、中2日で8月8日のリベルタドーレス、リーベルプレート戦2ndレグ。アウェイでの1stレグは、チームの完成度の違いをまざまざと見せつけられた内容だったが、1点のビハインドで凌いだ試合。今節の試合で進化をみせたが、ホームの2ndレグで巻き返すことができるだろうか。
   全国選手権第19節は8月12日にホームで全勝を誇る首位ボタフォゴとのアウェイでの対戦。今節およびリーベルプレート戦でのチームの進化を測るには好都合な試合だ。

   コリンチャンスは、5月初めのルシェンブルゴ監督就任後、なかなか勝つことができず7戦目にして初勝利、その後も不安定な成績が続いていたが、監督の采配が結果を残し始め、直近の公式戦8試合は7勝1分の好成績。コパ・スウアメリカーナ、コパ・ド・ブラジル、全国選手権後半戦に向け好感触の試合が続く。
   前節終了後の8月1日にチーム内得点王のFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)のアル・ヤーラン/QATへの移籍が発表されたものの、週中のコパ・スウアメリカーナに先勝し、勢いは衰えていない。
   今節はコパ・スウアメリカーナから半数のスタメンを変更。
   試合は幸先よく前半13分に先制するも、4分後に追いつかれる。一進一退の攻防を続ける中、前半を終了。
   後半は、相手にボールを握られる時間が続くが、その時間帯をしっかりと守り切ると、次第にカウンターからチャンスが生まれ始め、後半42分には遂にカウンターからPKを獲得しリードを奪う。さらに後半45+2分に相手から退場者が出て勝ち点3獲得が濃厚と思われた。しかし、最終盤にマークミスが2プレー続けて発生し、同点に追いつかれ勝ち点2を失う結果に。
   非常にもったいない試合となったが、無敗記録は9試合と継続。気持ちを切り替えてコパ・スウアメリカーナ、全国選手権を迎えてもらいたい。
   次戦は、8月8日にコパ・スウアメリカーナ2ndレグ。全国選手権第19節は8月13日にコリチバをホームに迎える。

フルミネンセ(FLU) 2-1 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=CyGLFmlO7PU
(FLU) : 15' #21 ジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)[PK]
(FLU) : 59' #9 ジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)[]
(PAL) : 90+5' #15 グスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)[#14 アルトゥール(Artur, 1998)]

見どころ(試合前の順位)

   フルミネンセは全国選手権8勝4分5敗勝点28の5位。
   パウメイラスは全国選手権8勝7分2敗勝点31の3位。

得点シーン

(FLU)前半15分 :
相手陣左サイドライン際での混戦からMFジョン・アリアスが抜け出しドリブルでゴールに向かう。ペナルティエリア手前からペナルティエリア内でCBの間に入ったFWジョン・ケネジーにボールを渡す。FWジョン・ケネジーはMFジョン・アリアスへ戻さず、自らゴールに向かう。この時、ディフェンダーの足がFWジョン・ケネジーを引っ掛ける形となりペナルティ。このPKをMFジョン・アリアスがGKが飛ぶ逆サイドに蹴り込みフルミネンセが先制。
   MFジョン・アリアスはこの試合では攻守に特筆すべき働き。1点目はドリブルで抜け出しラストパスが相手ファールを誘いPKを獲得。2点目も起点となるボール奪取とゴール前でのチャンスメーク。現役コロンビア代表の力量を遺憾なく発揮した。
(FLU)後半14分 :
MFジョン・アリアスが相手陣でのボール奪取から前線にボールを送り、自身はそのままゴール前に上がる。MFジョン・アリアスはペナルティエリア内の混戦のこぼれ球を拾いシュートを放つがGKが攻守。しかし、そのこぼれ球をFWジョン・ケネジーがゴールネットに突き刺す。
   FWジョン・ケネジーはフルミネンセ下部組織出身で18歳の2021年1月20日全国選手権第31節コリチバ戦でプロデビューを果たし、プロ初ゴールを記録。2021年、2022年はトップチームのみならず、U-23、U-20カテゴリーの試合にも出場し試合経験を積む。2023年は州選手権限定でサンパウロ州のフェホヴィアーリアでプレーし、11試合6得点を記録。フルミネンセ復帰後は出場7試合で3得点2アシストを記録するが、徐々に出場機会を失っていく。今節、リベルタドーレスの谷間の試合で5月25日以来の先発に抜擢されると、チームの2得点に絡む活躍。出場機会に恵まれず悩む期間もあったようだが、この試合での活躍で自信を取り戻すことができただろうか。
(PAL)後半45+5分 :
自陣から右サイドライン際をSBマイキ(Mayke, 1992)がボールを運び、MFアルトゥールに送る。MFアルトゥールはボールを受けると左足でゴール前にクロス。攻めあがったCBグスタボ・ゴメスが頭に合わせゴールネットを揺らす。
   CBグスタボ・ゴメスは、2011年、2013年U-20南米ユース選手権、2013年U-20W杯代表。パラグアイ代表として3度のコパ・アメリカなど66試合4得点を記録。パラグアイの名門リベルタ下部組織出身でラヌース/ARG、インテルミラン/ITAを経て2018年にパウメイラスに加入。守備面だけでなく攻撃面でもセットプレーでの打点の高いヘディングシュートで得点を量産。今季はリベルタドーレスで3得点を記録しているが、全国選手権では初ゴール。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:49% 51%
シュート(枠内): 前半:‐ (-) ⇒ 前後半:10-16(5-5)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:85% 77%
   リベルタドーレスに挟まれた週末の試合となる両チームは、多くの主力選手がスタメンから外れ、控え選手を中心としたメンバーで試合に臨む。
   フルミネンセは、新加入の3選手を先発に起用。CBマルロン・サントス(Marlon Santos, 1995)、VOLダニエウ(Daniel, 1996)の2選手が2試合目の出場、MFレオ・フェルナンデス(Leonardo Fernández, 1998)が5試合目の出場となる。
   CBマルロン・サントスは、多少のミスはあったものの、スピードのあるFWブレーノ・ロペス、FWホニをしっかりと抑え、空中戦でも高い勝率をマーク。
   VOLダニエウは、危険な位置でのシュートブロックや、度々カウンターの起点となる。一方で、ボールを持つと前への意識が強すぎ攻め急ぐ面も。2-0のリードで迎えた後半23分に交代。
   MFレオ・フェルナンデスは、セグンドボランチとして高い位置でのマーク、パスカットなど守備面で貢献。一方で、攻撃面では攻め急ぐVOLダニエウと息が合わず、前半を終えた時点で交代した。
   試合は、細かいパスワークで相手陣に侵入しながらもボールを失い、両サイド奥にボールを送られ、自陣に引き返す場面が多くなる。前半15分に細かいパスワークとMFジョン・アリアスの個人技からFWジョン・ケネジーがPKをもらい先制。
   後半10分にカウンターからペナルティエリア手前で左右にボールを散らし揺さぶるとFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)のシュートで終わると、後半14分に相手陣のボール奪取からのショートカウンターで追加点。
   後半18分にも、左サイド浅い位置からSBマルセロ(Marcelo, 1988)がゴール前に飛び出すFWジョン・ケネジーに絶妙なクロスを送るが、FWジョン・ケネジーは大きくなったバウンドに上手く足を合わせることができない。
   その後は、押し込まれる時間が長くなり、効果的なカウンターも発動できない。後半44分に退場者を出しながらも、GKファビオ(Fábio, 1980)のスーパーセーブや守備陣の奮闘でパウメイラスの反撃を1点に抑え、2-1の勝利。
   この勝利で勝ち点を31に伸ばしパウメイラスを上回り3位に浮上。
   次戦は、中2日で8月8日にリベルタドーレス2ndレグ。1stレグは1-1の引き分けに終えており、ホームでの2ndレグで勝ち切って準々決勝に駒を進めたい。
   全国選手権第19節は、8月13日にアウェイでのグレミオ戦。上位との対戦が続く。

   パウメイラスは、左SBヴァンデルラン(Vanderlan, 2002)、MFジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)、MFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)、FWエンドリッキ(Endrick, 2006)が先発の若い陣容。
   試合には敗れたものの、スピードのあるFWブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)、MFルイス・ギリェルミがサイドでボールを受け相手守備陣をゴール前に押し込み、サイドからのクロス、中央に戻してからMFジョン・ジョンが主導するパスワークでの崩しを図るなど、控え選手を中心としたメンバーながら好調時のサッカーを体現。
   守備面でも高い位置でパスの供給元へのチェックでフルミネンセに攻撃の形を作らせず、最終ラインはしっかりと構え相手FW陣に自由にプレーをさせない。全体的には安定していたものの、前半15分にはMFジョン・アリアスの個人技、後半14分には自陣でのボールロストからカウンターを受け、少ないチャンスをゴールに結びつけられた。
   左SBヴァンデルランは、FWブレーノ・ロペスと共に左サイドからの攻撃を作り、危険なクロスを供給。
   FWエンドリッキは、消える時間が多く、シュートを1本も打つことなく、後半21分にピッチを後にした。
   次戦は、中3日の8月9日にリベルタドーレス、アトレチコ・ミネイロとの2ndレグ。アウェイでの1stレグは1-0で勝利を収めているが、引き分けでも次のステージへの進出が決まるという意識の持ち方が難しい状況だけに、チーム内の意識を統一して試合に臨みたい。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 1-0 グレミオ(GRE)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=CWp78UoAow8
(VAS) : 80' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[#7 ガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)]
(GRE) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権2勝3分11敗勝点9の20位。
   グレミオは全国選手権9勝3分4敗勝点30の4位。

得点シーン

(VAS)後半35分 :
敵陣右サイドでのCBミランダ(Miranda, 2000)とFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)のパス交換から、FWガブリエウ・ペッキがMFパウリーニョ・パウラ(Paulinho Paula, 1997)にボールを預け、MFパウリーニョの脇を縦に上がる。MFパウリーニョが守備ライン裏にボールを送るとMFパウリーニョ・パウラが中央にクロス。FWベヘッチはでニア→ファーの動きでディフェンダーのマークを外し、ライナー性のクロスに頭を合わせゴールネットを揺らす。
   FWベヘッチは、8月4日にヴァスコ入りが発表されたばかりのアルゼンチン国籍のセンターフォワード。キャリアの初期に半年間チリでプレーした以外はアルゼンチンでプレーし、ブラジルでのプレーは初めてとなる。後半19分からの出場でヴァスコに5試合ぶりの勝利をもたらす決勝点を決め、今後の活躍が期待される。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:51% 49%
シュート(枠内): 前半:‐ (-) ⇒ 前後半:10-10(4-4)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:84% 79%
   ヴァスコ・ダ・ガマは、前節から大幅に先発メンバーを変更。右SBにCBホビソン・バンブー(Robson Bambu, 1997)を起用、VOLメデル(Medel, 1987)がCBの一角を占め、高さのあるVOLゼ・ガブリエウ(Zé Gabriel, 1999)を最終ラインの前に置く守備的な布陣。前節で後半からピッチに立ち攻撃を牽引したMFオレジャーノ(Orellano, 2000)が右サイド、従来右サイドでプレーしたFWガブリエウ・ペッキが左サイドに入る。
   グレミオの速いチェックに手こずりながらも、前半10分、中央のMFプラシェデス(Praxedes, 2002)からのパスをペナルティエリア左角でFWガブリエウ・ペッキがチーム初シュート。しかし、その後はグレミオの中盤を潜り抜けることができず、自陣でボールを失い、ゴールライン手前までボールを運ばれ、下がった守備ラインの手前のスペースを突かれ、フリーでシュートに持ち込まれるシーンが前半12分、24分と相次いで発生する。前半42分にFKからのこぼれ球にCBホビソン・バンブーが反応しシュートを放つが、ディフェンダーに当たったボールは僅かにゴール枠左に外れていく。
   後半に入り中盤を修正、後半2分にFWガブリエウ・ペッキが個人技で持ち込みシュート。1分後にも、自陣からVOLゼ・ガブリエウがFWセバスティアン・フェレイラ(Sebastián Ferreira, 1998)とのタベーラからボールを縦に運び、守備ライン裏に抜け出すFWガブリエウ・ペッキへスルーパス。しかし、FWガブリエウ・ペッキがシュート体勢に入ったところでディフェンダーにクリアされる。
   後半19分に、一気に3選手を交代。併せてFWガブリエウ・ペッキを右サイドに移す。
   後半26分、自陣で後方からのボールを受けたMFパウリーニョ・パウラがターンでディフェンダーをかわしスピードのあるドリブルで中央右寄りを駆け上がる。そのままペナルティエリアへ侵入を図るFWベヘッチへパスを送るとFWベヘッチはダイレクトにシュート。しかし、これはグレミオGKグランド(Grando, 2000)が好セーブ。後半30分にはCBを本職としながら後半19分に交代で右SBに入ったCBミランダがサイドライン際のFWガブリエウ・ペッキからボールを受け、ペナルティエリアに侵入しクロス。これはあわや相手のオウンゴールを誘う惜しいクロス。そして、後半35分、三度右サイドから相手ゴールに迫りFWベヘッチのゴールで先制点を奪う。
   後半アディショナルタイムにはセットプレーから2度のピンチを迎えるが、グレミオのシュートミスと、GKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)のスーパーセーブでゴールを守り抜きタイムアップ。
   この勝利は全国選手権3勝目、5試合ぶりとなる勝利。ラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督の3試合目にして初勝利となった。
   次戦は、8月14日に全国選手権第19節アウェイでのRBブラガンチーノ戦。

   グレミオは、CBカネマン(Kannemann, 1991)を出場停止で欠き、4バックで試合に臨む。
   いつもの試合同様、中盤で素早いチェックを仕掛け相手の攻撃の芽を摘み、縦に素早くボールを運び、後方が次々と選手が現れるサッカーを展開。この試合ではゴール前に相手守備陣がブロックを作る前のシュートを選択。前半12分にはFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)が右サイドのFWビテロ(Bitello, 2000)のパスにペナルティアーク内でダイレクトにシュートを放つがヴァスコGKレオ・ジャルジンが好セーブ。前半24分にも右サイドのSBジョアン・ペドロ(João Pedro, 1996)からのパスをペナルティアーク内で受けたFWフェヘイラ(Ferreira, 1997)がワントラップからシュートを放つがボールはゴール枠左へ外れる。
   前半43分には、再びFWルイス・スアレスが前線から下がりボールを受けると約25mのミドルシュートを放つが再びGKレオ・ジャルジンの好セーブにゴールを阻まれる。
   後半立ち上がりは、修正したヴァスコの攻撃に後手に回るも、間もなく均衡状態に持ち込み、後半18分に先に選手交代を行い得点を奪いに行く。後半21分には相手ゴールライン際まで2度にわたりボールを運び決定的な場面を迎えるも、ヴァスコの粘り強い守備にシュートに持ち込めずにチャンスを逸すると、後半26分から三度立て続けに右サイドからピンチを迎え、後半35分に失点。
   残り時間は攻撃の圧を強めていくが、シュートミスや、FWルイス・スアレスのシュートがGKレオ・ジャルジンのビッグセーブに阻まれるなど、最後までゴールを割ることができず、首位追撃に向けて最下位ヴァスコを相手に痛い敗戦。
   1試合未消化ながら、勝ち点を積み上げることができず、2位までの勝点差は1の6位。首位ボタフォゴとの勝点差は14に広がった。
   次戦は、8月13日の全国選手権第19節、ホームにフルミネンセを迎える。

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