【ブラジル全国選手権2023】第18節(2/2)

投稿者: | 2023年8月5日

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全国選手権第18節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第18節(1/2)
・2023/08/05 サントス(SAN) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/08/05 ゴイアス(GOI) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/08/05 インテルナシオナウ(INT) x コリンチャンス(COR)
・2023/08/05 フルミネンセ(FLU) x パウメイラス(PAL)
・2023/08/06 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x グレミオ(GRE)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/08/06 サンパウロ(SAO) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
2023/08/06 クルゼイロ(CRU) x ボタフォゴ(BOT)
2023/08/06 コリチバ(CFC) x RBブラガンチーノ(RBB)
2023/08/06 バイーア(BAH) x アメリカ・ミネイロ(AME)
2023/08/06 クイアバ(CUI) x フラメンゴ(FLA)

全国選手権第18節 試合概要

サンパウロ(SAO) 0-2 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Fz1pCBWVEzU
(CAM) : 4' #7 フッキ(Hulk, 1986)[FK]
(CAM) : 69' #9 パボン(Pavón, 1996)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   サンパウロは全国選手権7勝5分5敗勝点26の8位。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権5勝6分6敗勝点21の13位。

得点シーン

(CAM)前半4分 :
ゴール正面約33mのFK。十分に助走距離をとったFWフッキが左足を振り抜くと、2枚の壁の右を抜けるとやや左へ流れながらゴールネットに突き刺さる。GKの初動ミスもあったものの、難しいコースに決まった目の覚めるゴラッソ。アトレチコ・ミネイロが先制。
   FWフッキは、2023年6月3日全国選手権第9節にも約35mのFKを直接決めており、FKからのゴールは全国選手権で2点目。ゴールそのものも7月2日第13節アメリカ・ミネイロ戦以来約1か月、5試合ぶりとなった。
(CAM)後半24分 :
サイドを崩され決定的なシュートをトップチーム4試合目、今季初出場を迎えたGKマテウス・メンデス(Matheus Mendes, 1994)がスーパーセーブで防いだプレーからの流れ。アトレチコ・ミネイロが右サイドから相手陣に攻め入り左サイドへボールを運ぶと、ペナルティエリアの角でMFパトリッキ(Patrick, 1992)が倒される。微妙な位置でのファールはペナルティエリア内と判定されPKがアトレチコ・ミネイロに与えられる。これをFWパボンがGKの逆をついたシュートでアトレチコ・ミネイロが追加点。
   MFパボンは元アルゼンチン代表。2018W杯ロシア大会ベスト16のフランス戦では、メッシ、ジ・マリアとスリートップを組みスタメン出場。2022年7月にアトレチコ・ミネイロに加入。確かな戦術眼で主に右サイドから攻撃を組み立て、監督交代後のチームとして結果が出ない期間も好守にチームを鼓舞する働きを見せていた。このゴールで今季32試合4得点6アシスト(全国選手権16試合3得点4アシスト)。
   GKマテウス・メンデスは、アトレチコ・ミネイロ育成出身、U-20カテゴリーでは最後の2年間でレギュラーを務めるが、トップチーム昇格後は出場機会に恵まれず、2020年9月16日、期限付き移籍先の全国選手権2部CRBでプロデビューを飾る。同年は28試合23失点の成績を残し、2021年にアトレチコ・ミネイロと2024年末までの契約更新。アトレチコ・ミネイロでは、2022年の州選手権での負傷交代出場、GK退場による出場、スタメン出場の3試合の出場のみ。この試合が2年3か月ぶりの試合となったが、シュート処理、空中戦で危なげのないプレーを見せ、さらにはサンパウロの同点弾を阻むスーパーセーブ。代表歴のある絶対的守護神エヴェルソン(Éverson, 1990)とのポジション争いを繰り広げたい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:62% 38%
シュート(枠内): 前半:‐ (-) ⇒ 前後半:18-8(2-2)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:88% 76%
   サンパウロは、立ち上がりからボールを握り優位に試合を運ぶが、前半4分にFKを決められ早くも追いかける形となる。
   前半16分にはMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)が自陣半ばからドリブルでボールをゴール前に運びシュートまで持ち込み、前半20分には左CKからアウトサイドにかけたクロスをCBジエゴ・コスタ(Diego Costa, 1999)がフリーで頭に合わせるなど、アトレチコ・ミネイロゴールに迫るが、相手守備を崩した決定的なシーンを作り出すことはできない。
   後半に入り、2012年以来のサンパウロでのプレーとなるMFルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)を投入。すると、その巧みなドリブルやキープ力、ボールの配給により攻撃の厚みが増していく。
   後半10分前後の相次ぐCK、後半14分の相手ペナルティエリア内での猛攻、後半18分のゴール正面25mのFKと、大きなチャンスが続く。そして、後半20分、右サイドからのクロスが流れたところをSBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)が受けると、ディフェンダーの間を抜け出しゴールライン際からマイナスのクロス。これをFWカレリ(Calleri, 1993)がダイレクトに左足を振り抜くが、アトレチコGKのスーパーセーブにゴールを阻まれる。チャンスを決めきれずにいると、この直後にPKを献上し追加点を許す。
   その後は、固く閉じたアトレチコ・ミネイロの守備網を崩すことができず、後半20分までの勢いを取り戻すことができず試合終了。全国選手権は3試合未勝利となり、その結果、第15節終了時点の4位から9位と順位を5つ下げることとなった。
   次戦は、8月10日コパ・スウアメリカーナ決勝ラウンド一回戦サンロレンツォ/ARGとの2ndレグ。アウェイでの1stレグは0-1の敗戦。ホームに帰って満員のサポーターが見守る中、2点差以上で勝ち切りたい。
   全国選手権第19節は8月13日にアウェイでのフラメンゴ戦が控えている。

   アトレチコ・ミネイロは、ルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督就任後、9試合勝ち星がない。
   リベルタドーレスに挟まれたこの試合もベストに近い先発メンバーで臨む。
   試合は前半4分に早くもFWフッキのゴラッソで先制。先制後は、最終ラインと中盤が適度な距離感を保ち、ボールを奪っては相手の背後に素早くボールを運び追加点を狙う。ボールを持たれる時間は長くなるものの、守備を崩されることはなく前半を折り返す。
   後半開始時に1点差のリードを受け交代枠を2枚使う。一枚はセンターバック、イエローカードを貰った一対一に強いCBジェメルソン(Jemerson, 1992)から高さと守備範囲の広いCBレーモス(Lemos, 1995)への交代、もう一枚は左サイドハーフ、ケガから復帰後2戦目で攻撃センスの高いヨハン(Hyoran, 1993)から運動量があり守備への貢献度も高いパトリッキへの交代し、守備の不安の軽減を図る。
   ところが、サンパウロの選手交代に中盤が劣勢に立たされ、相次いでピンチを招く。しかし、それを凌ぎ切ると後半24分、後半から出場のMFパトリッキがPKを獲得しリードを2点に広げる。このタイミングで、前線2人に代え中盤2人を投入し、中盤の劣勢を挽回。中盤から最終ラインにかけてプレーが安定すると、後半38分にはカウンターから大きなチャンスを迎えるなど、盤石な試合運びで試合を締めくくり、2-0で2か月ぶりの勝ち星。
   この勝利で勝ち点を24に伸ばし、順位も一気に3つ上げ10位に浮上。
   次戦は中2日で8月9日にリベルタドーレスパウメイラス戦の2ndレグ。1stレグはホームで0-1の敗戦。今節の勢いを2ndレグに繋げたい。
   全国選手権第19節は8月13日にホームにバイーアを迎える。

クルゼイロ(CRU) 0-0 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=PpTsEJBuEbc
(CRU) : N/A
(BOT) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   クルゼイロは全国選手権6勝5分6敗勝点23の10位。
   ボタフォゴは全国選手権14勝1分2敗勝点43の首位。

得点シーン

N/A

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:3‐0 (1-0) ⇒ 前後半:11-2(4-1)
パス成功率: 前半:87% 78% ⇒ 前後半:85% 75%
   クルゼイロは、新加入で前節終了間際に投入したMFマテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)を起用。出場停止のGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)に代わりGKアンデルソン・シウヴァ(Anderson Silva, 1998)の二つのポジション以外は前節と同じ先発メンバーで首位ボタフォゴに挑む。
   試合は今年一番を思わせる内容。
   不調時には広がりつつあった選手間の距離がコンパクトに保たれ、奥行きもあり、ボール保持者に対して多くのパスコースが用意される配置。短い距離のパスとミドルのパスを組み合わせ攻撃を組み立てる。ボールを失った際には、すぐさまボールに一番近い選手が間合いを詰め、次々とボールを掻き出し奪い返していく。
   ボタフォゴは、クルゼイロのボールへの寄せの速さに一気に前線へボールを送ろうとするが、クルゼイロ最終ラインは自陣で高い位置を保ち、相手陣でボタフォゴの選手がロングボールのモーションに入るとスッとラインを上げ、ボタフォゴのオフサイドを誘い出す。
   これまで17試合で僅か10失点のボタフォゴの守備を崩すことはできないものの、前半32分にCKからCBルシアーノ・カスタン(Luciano Castán, 1989)が頭を合わせるなど、あと一歩のところまで迫る。
   後半に入っても試合の展開は変わらない。後半12分にはペナルティエリア右外からのFKにMFマテウス・ペレイラが左足から巻き込むシュートを放つが、ボタフォゴGKルーカス・ペリ(Lucas Perri, 1997)がなんとかパンチングでクリア。
   後半45分には途中交代出場のMFマテウス・ヴィタウ(Matheus Vital, 1998)の右サイドからのクロスに、同じく途中交代出場のFWハファエウ・エリアス(Rafael Elias, 1999)が頭を合わせるがGKルーカス・ペリが片手でストップ。こぼれ球をクルゼイロが拾い、ボールを繋いで再び右サイドからクロスを上げ再びFWハファエウ・エリアスがヘディングシュートを放つも、再びGKルーカス・ペリが立ちはだかる。
   後半45+2分には左CKをCBルシアーノ・カスタンがニアサイドで頭に合わせボールをずらし、ファーサイドでMFマテウス・ヴィタウが飛び込むも僅かに届かない。
   結局は、ボタフォゴGKルーカス・ペリとCBアドリエウソン(Adryelson, 1998)を中心とした鉄壁の守備をこじ開けることができず0-0の引き分け。しかし、いれぶんはミネイラオンを埋めた満員のサポータの拍手と歓声に迎えられた。
   次戦は、8月14日に全国選手権第19節アウェイでのパウメイラス戦。再び今節のような試合を観たい。

   ボタフォゴは、コパ・スウアメリカーナに挟まれた試合だが、ベストメンバーで試合に臨む。
   しかし、クルゼイロのパスワークとボールへの速い寄せにいつものサッカーをすることができず、自陣での我慢の展開が続き、前半は一本のシュートも放つことができない。さらに、前半43分、FWチキーニョ・ソアレスが自陣でディフェンダーを背にボールを受けた際に、膝をグラウンドに打ちつけ負傷、交代を余儀なくされる。
   後半に入り、いつものようにMFマチアス・セゴビア(Matías Segovia, 2003)を投入。ハーフタイムでの修正もあり、攻撃面で若干の改善は見られるものの、戦局は大きくは変わらない。
   後半18分、右サイドからのクロスをペナルティエリア入口で受けたMFエドゥアルドがチーム初シュート。しかし、これはディフェンダーがブロック。続く後半22分、中盤のマークを掻い潜ったMFマチアス・セゴビアが約30mのシュートを放つが、ボールに勢いはなくGKの正面を突く。
   この時間帯の攻勢を終えると再びクルゼイロに主導権を握られ、後半40分過ぎには相次いでゴール前に攻め込まれピンチを迎える。しかし、GKルーカス・ペリが再三のスーパーセーブでゴールを守り切る。
   攻撃面では全くいい場面を作り出すことができない試合だったが、それでも勝ち点1を獲得するところが今季のボタフォゴの底力の一端を表している。
   翌日の報道によると、FWチキーニョ・ソアレスのケガは復帰まで5週間を要するとのこと。FW陣の層は厚く、鉄壁の守備をもってすれば、過度に心配する必要はないと思われるが、死角の少ないボタフォゴにとって新たな不安材料となるだろう。
   次戦は、中2日の8月9日にコパ・スウアメリカーナ2ndレグ。1stレグは控え選手を中心としたメンバーでホーム戦を2-1の辛勝。アウェイでの2ndレグはどのように戦うだろうか。
   全国選手権第19節は8月12日インテルナシオナウ戦。これまで全勝のホームでの試合となる。

コリチバ(CFC) 0-1 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=QXZnxsbxP2I
(RBB) : 19' #27 ソヒーゾ(Sorriso, 2001)[#28 ヴィチーニョ(Vitinho, 1999)]

見どころ(試合前の順位)

   コリチバは全国選手権3勝5分9敗勝点14の18位。
   RBブラガンチーノは全国選手権7勝7分3敗勝点28の6位。

得点シーン

(RBB)前半19分 :
GKクレイトン(Cleiton, 1997)の左サイドへのロングフィードにMFルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)が頭でボールを前線に流し、FWヴィチーニョがオフサイドぎりぎりで抜け出す。そのままゴールライン手前までボールを運び、少し後方に下がりゴールに向かうクロス。このボールに右サイドから駆け上がったFWソヒーゾがディフェンダーの背後から抜け出し足を合わせる。RBブラガンチーノが先制。
   FWソヒーゾは、ジュヴェントゥージ育成出身で20歳の2021年3月にリオグランデドスル州選手権でデビュー。そのままレギュラーの座を獲得すると、同年は全国選手権36試合など計50試合に出場し4得点4アシスト。複数のクラブが獲得の意志を見せる中、2022年2月21日、RBブラガンチーノが獲得。同年は先発、途中出場を交え全国選手権31試合、リベルタドーレス5試合など計46試合に出場(2得点2アシスト)。今季はこの試合終了時点で既にキャリアハイの7得点(1アシスト)をマーク。5月に一時的に出場機会を失うが、6月以降はコンスタントに試合に出場している。
   GKクレイトンは、アトレチコ・ミネイロ育成出身で2017年U-20南米ユース選手権代表で1試合に出場。2017年6月25日全国選手権第10節シャペコエンセ戦で19歳のデビューを果たす。2021年半ばにホドリゴ・サンタナ(Rodrigo Santana)監督の下レギュラーの座を獲得。2020年1月14日、選手保有権の70%に対し500万ユーロ相当の移籍金でRBブラガンチーノが獲得。同年以降守護神としてRBブラガンチーノのゴールマウスを守る。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:46% 54% ⇒ 前後半:50% 50%
シュート(枠内): 前半:2‐6 (1-1) ⇒ 前後半:9-12(1-2)
パス成功率: 前半:70% 75% ⇒ 前後半:77% 73%
   コリチバは、チアゴ・コズロスキ(Thiago Kosloski)監督代行が指揮を執り3勝1分1敗。前節ボタフォゴ戦は正攻法で挑むもあえなく1-4の敗戦。今節は警告累積で出場停止のFWホビソン(Robson, 1991)に代わりFWカイオ・セーザル(Kaio César, 2004)を起用。他のポジションは前節と同じメンバーで臨む。
   今節も相手陣で積極的にボールを奪いに行き、リトリートした場面も前線がボールの出どころにチェック、それに連動し中盤が個々にマーク。相手に攻撃の形を作らせない展開で試合を進める。
   しかし、それを逆手に取られ、前半19分にGKのロングフィードから自陣深くに侵入される手数の少ない速攻でゴールを許す。
   前半を通し、中盤の攻防が激しくなる中、それを搔い潜ることができても、素早い帰陣とボール保持者へのマークを緩めないRBブラガンチーノの守備が崩すことができず、シュートに持ち込むことができない。
   後半に入り、ボール保持率を高め、相手陣でのプレー時間が長くなる。後半17分には相手陣右サイドのスローインから、前後のパス交換を経て、ゴールライン際からのマイナスのクロスをゴールに蹴り込むが、一連のプレーでオフサイドがありノーゴールの判定。
   その後も右サイドを中心に攻撃を展開していくが、攻撃に前後、左右の厚みがなく、強引なシュートでプレーを終える場面が多く、決定的な場面を迎えることができない。
   試合はこのまま相手ゴールをこじ開けることができず、ホームで0-1の敗戦を喫した。
   首位ボタフォゴ、好調RBブラガンチーノを相手に二連敗。しかし、全体的な内容としては今節では改善が見られた。
   後半17分のゴールは、オフサイドにより取り消されたがゴールライン際にボールを運びマイナスのクロスからの綺麗なゴール。しかし、見どころはこのシーン以外にはほとんどなく、ゴールを目指す局面での課題が残った。前半は、攻撃の起点となるサイドの逆サイドに選手が残っていたが、後半は起点側に人数をかけすぎ、逆サイドに選手がおらず、攻撃の奥行きが失われていた。
   次戦は、8月13日にアウェイで全国選手権第19節コリンチャンス戦。相手は週中に試合があり日程的な優位がある。降格圏脱出に必要な勝ち点は4と広がっており、是が非でも勝ち点3が欲しい。

   RBブラガンチーノはコパ・スウアメリカーナに挟まれた今節の先発メンバーにデビュー戦となるCBシプリアーノ(Cipriano, 2002)、CBルアン・パトリッキ(Luan Patrick, 2002)を起用、ケガから復帰明けのCBレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)はベンチスタート、ナポリ/ITAから正式なオファーを受けたCBナタン(Natan, 2001)はベンチ外となる。
   この試合もいつもと同様にボールを保持しようとするが、コリチバの積極的な守備に後手に回る。しかし、前半19分にGKからのロングフィードから手数の少ない展開で先制を奪う。
   すると、無理にボールを保持しようとはせず、コリチバの攻撃を受けるように、相手の前線に5選手が並ぶ攻撃に5バックで対応、攻撃の起点が相手右サイドに偏ると左サイドにより気味に選手が寄せ、クロスボールを警戒。クロスボールを上げられた場面も両CBがしっかりと弾き返していく。
   前半28分にはFKからチャンスを迎えるがFWヴィチーニョのシュートは枠を越え、前半36分の相手陣でのボール奪取からショートカウンターを仕掛けるが、3対1の状況でFWヴィチーニョがペナルティエリア外から放ったシュートは再びゴール枠を越えていく。
   後半に入り、右SB、ボランチと守備的なポジションに相次いで交代。後半18分にはFWの2選手を交代するも、コリチバの攻勢に受け身となり、効果的なカウンターを仕掛けることできない。左サイドのSBルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)の後ろのスペースをたびたび突かれ、後半17分にはオフサイドとなったものの、綺麗に崩される場面も。後半31分に中央で高さのあるCBシプリアーノに代え左サイドにSBギリェルミ(Guilherme, 2002)を投入し修正を図ると、守備の安定に成功。そのままタイムアップを迎える。
   難しい試合だったが、前半に上げた1点を最後まで守り抜き、アウェイで勝ち点3を獲得。勝ち点は2位と並ぶ31、暫定5位に浮上した。
   次戦は、中3日の8月10日にコパ・スウアメリカーナのアメリカ・ミネイロ戦2ndレグ。ホームでの1stレグは1-1の引き分けに終わっており、2ndレグはアウェイで勝ち星が必要な状況。
   全国選手権第19節は8月14日にホームにヴァスコ・ダ・ガマを迎える。

バイーア(BAH) 3-1 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Ox-nkfqPuZI
(BAH) : 26' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#38 カミーロ・カンジド(Camilo Cándido, 1995)]
(AME) : 52' #17 マストリアーニ(Mastriani, 1993)[#10 ベニテス(Benítez, 1994)]
(BAH) : 60' #8 カウリー(Cauly, 1995)[#5 ヘゼンジ(Rezende, 1995)]
(BAH) : 69' #11 ハファエウ・ハトン(Rafael Ratão, 1995)[#8 カウリー(Cauly, 1995)]

見どころ(試合前の順位)

   バイーアは全国選手権3勝6分8敗勝点15の17位。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権2勝4分10敗勝点10の19位。

得点シーン

(BAH)前半26分 :
相手陣入口左サイドでボールを受けたFWハファエウ・ハトンがドリブルで持ち上がり、斜めに中央からペナルティエリア左角に流れるFWエヴェラウドへ向け縦にボールを送る。ボールを受けたFWエヴェラウドはサイドライン際にボールをはたき自身はゴールエリア付近にポジションを取り直す。左サイドライン際でボールを受けたSBカミーロ・カンジドは間合いを詰めるディフェンダーの股を抜きペナルティエリア内に侵入するとゴールライン際からマイナスのクロス。これをFWエヴェラウドがワンタッチでゴールに流し込みバイーアが先制。
   FWエヴェラウドは2020‐22年に鹿島アントラーズ/JPNでプレーし101試合34得点15アシストを記録。2023年バイーア加入後はコンスタントに試合に出場。これで42試合14得点4アシスト、全国選手権は15試合3得点。
   SBカミーロ・カンジドは7月18日に1年間の期限付き移籍による加入がバイーアから発表されたばかりでこの試合が2試合目、初の先発出場。ナシオナル/URU在籍時の2021年にコパ・アメリカに向けたウルグアイ代表に招集。主力メンバーとして2021年、2022年のウルグアイリーグ優勝に貢献。
(AME)後半7分 :
ペナルティエリアすぐ左からのFK。MFベニテスのクロスにバイーアのマークミスによりゴール前でフリーとなったFWマストリアーニが難なくボールをゴールに押し込みアメリカ・ミネイロが同点。
   FWマストリアーニは、あまり多くの出場機会に恵まれていなかったが、2023年6月29日のコパ・スウアメリカーナで先発に起用されると、続く7月2日全国選手権第13節アトレチコ・ミネイロ戦で後半6分のながら2得点を記録。この試合を機に先発出場が続くと、6月29日を含めた公式戦10試合7得点の活躍。巧みなポジショニングで不振のチームの中でゴールを量産している。
(BAH)後半15分 :
自陣入口での相手パスをCBヴィトル・ウーゴ(Vitor Hugo, 1991)が受け手の背後からカット。こぼれ球を拾ったVOLヘゼンジがMFカウリーにボールを預けると、MFカウリーはスピードのあるドリブルで直進、ペナルティエリア入口で左足を振り抜くとボールはGKの脇を抜けゴール右のサイドネットを揺らすゴラッソ。バイーアが再びリード。
   MFカウリーはバイーア州出身だが11歳からドイツで暮らしドイツ下部リーグでプロデビュー、ブルガリアの強豪ルドゴレツ・ラズグラドを経て2023年2月上旬にバイーアが230万ユーロ(約3億3千万円)の移籍金で獲得。バイーアの攻撃を牽引し、これで32試合7得点4アシスト。全国選手権は17試合3アシストでこのゴールが初得点となった。
(BAH)後半24分 :
VOLヘゼンジが相手陣でインターセプト。MFカウリーにボールが渡るとMFカウリーはドリブルでペナルティエリアに侵入しゴール前のFWハファエウ・ハトンへパス。FWハファエウ・ハトンはワントラップからシュート。オフサイドかと思われたプレーだったがVARの検証後にゴールが認められバイーアに追加点。
   FWハファエウ・ハトンは、サンパウロ育成出身で2013年7月のコパ・ド・ブラジルで17歳にしてポンチプレッタからデビュー。その後多くの国、チームでプレー。2015年にはアルビレックス新潟で1試合の出場経歴を残し、韓国、ウクライナ、スロバキアでもプレー。トゥールーズ/FRAで2年弱62試合19得点6アシストの記録を残し、2023年7月26日、250万ユーロの移籍金でバイーアに加入。前節途中出場でのクラブデビュー、今節は先発で出場し、チームの1点目に絡み、自身もゴールをマークうる活躍。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:61% 39%
シュート(枠内): 前半:‐ (-) ⇒ 前後半:23-6(7-5)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:85% 72%
   公式戦最近の8試合に勝ち星のないバイーア。しかし、直近の2試合はスコアレスドローで終えており、今節はいい守備からいい攻撃へ繋げ得点を奪いたい。
   スタメンには、前節出場停止のCBカヌー(Kanu, 1997)が復帰。共に前節途中出場でクラブデビューを果たした新加入のSBカミーロ・カンジドとFWハファエウ・ハトンが名を連ね攻撃力アップを図る。
   加入後3試合目となるSBジウベルト(Gilberto, 1993)を含めた新加入の3選手は、既存選手との連携も良く、試合中に対話を通して修正を行うなど、チームにフィット。立ち上がりの前半2分には相手ペナルティエリア内での繋ぎからFWハファエウ・ハトンがチーム初シュート。前半13分には右サイドから攻撃を仕掛け、ペナルティエリアに4選手が侵入、ペナルティエリア外にも3選手が配置された分厚い攻撃を展開、最後はシュートで終わるなど、次々と相手ゴールに迫る。
   そして、前半26分、自陣からリズムのいいパスワークとドリブルで相手陣に攻め入ると、SBカミーロ・カンジドが個人技でディフェンダーをかわしクロス。このボールをを受けたFWエヴェラウドがゴールを奪い、いい流れの中から先制する。
   その後も、ボール支配を続け、試合のテンポを緩めつつもチャンスをうかがい、前半31分、前半38分と相次いでアメリカ・ミネイロゴールに迫る。
   前半終了間際のアメリカ・ミネイロの選手交代、ハーフタイムでの修正に、後半は中盤の優位を奪われ前半と打って変わって劣勢に回る。すると、後半7分、セットプレーからゴール前のマークを誤り、相手FWをフリーにしてしまい、あえなく失点。その後もアメリカ・ミネイロの勢いに押され自陣での戦いが続く。
   ところが、後半15分、自陣からのカウンターでMFカウリーがゴラッソ。
   さらには、後半20分、アメリカ・ミネイロが退場者を出し、一気に試合の流れが傾く。
   後半24分、再び自陣からのカウンターでFWハファエウ・ハトンが移籍後初ゴールを決め勝負あり。
   3-1の完勝を収めたバイーアは9試合ぶりの勝ち星、勝ち点を18を伸ばし、順位も16位に浮上し降格圏を脱出。
   次戦は、8月13日にアウェイでアトレチコ・ミネイロと対戦する。

   アメリカ・ミネイロは、コパ・スウアメリカーナでの結果とは裏腹に、全国選手権は結果が出ず8試合に勝ち星から遠ざかる。
   この試合は、引き分けに終えたコパ・スウアメリカーナのスタメンと大きく異なり、一週間前の全国選手権に近いスタメン。新加入のCBエステバン・ブルゴス(Esteban Burgos, 1992)を初出場でスタメンに抜擢、同じく新加入のVOLハビエル・メンデス(Javier Méndez, 1994)をコパ・スウアメリカーナに続きスタメンに起用する。
   スリートップで臨んだ試合は、中盤を支配され、前半半ばに失点。その後も試合をコントロールされる展開。
   前半終了を待たず選手交代を行いボールが収まるMFベニテス(Benítez, 1994)を投入。ハーフタイムでの修正も効果を表し、後半は前半の劣勢を跳ね返し一旦は同点に追いつく。しかし、後半20分に自陣でのボールロストからカウンターを受け失点。1点を追う後半20分には先発に抜擢したCBエステバン・ブルゴスがこの試合2枚目のイエローカードを受け退場。前がかりとなった後半24分に再びカウンターから追加点を許すと、これ以上挽回することはできず、1-3のスコアで試合を終えた。
   試合翌日の8月7日、アメリカ・ミネイロはヴァギネル・マンチーニ(Vágner Mancini)監督の解任を発表。8月8日にはファビアン・ブストス(Fabián Bustos)監督就任が発表された。
   アメリカ・ミネイロはこの敗戦で全国選手権は再び最下位に転落。一試合未消化とは言え、降格圏脱出には勝点差8を詰める必要がある。
   次戦は、1stレグを1-1で引き分けたコパ・スウアメリカーナでのRBブラガンチーノとアウェイでの試合が8月10日に組まれている。全国選手権第19節は8月13日にホームにゴイアスとの対戦が控える。

クイアバ(CUI) 3-0 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=NeAq068msrk
(CUI) : 46' #2 マテウス・アレシャンドレ(Matheus Alexandre, 1999)[]
(CUI) : 54' #29 クレイソン(Clayson, 1995)[#16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)]
(CUI) : 80' #16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)[#11 ウェリントン・シウヴァ(Wellington Silva, 1993)]
(FLA) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権7勝4分6敗勝点25の9位。
   フラメンゴは全国選手権9勝4分4敗勝点31の2位。

得点シーン

(CUI)後半1分 :
右サイドを右SBマテウス・アレシャンドレが攻め上がり、ボールを細かく繋いだ後、中央を経て左サイドへ展開すると、左SBヒケウミ(Riquelme, 2003)が左サイドライン際のやや浅い位置からクロス。相手ディフェンダーの頭をかすめたボールは、前線に残り相手最終ラインの右脇に位置取った右SBマテウス・アレシャンドレの足元へ。右SBマテウス・アレシャンドレはワントラップから落ち着いてボールをゴールに押し込みクイアバが先制。SBからSB(De lateral para lateral)のゴール。
   右SBマテウス・アレシャンドレは2022年のコリチバでの活躍(コリンチャンスからの期限付き移籍)を受け、クイアバが2022年12月29日に3年契約で獲得。188㎝の長身を生かした空中戦を得意とし、ボランチでのプレーも可能な守備に安定感のあるサイドバック。2023年はチーム37試合のうち35試合に出場。4月1日マットグロッソ州選手権での得点以来、全国選手権では初のゴールとなった。
(CUI)後半9分 :
自陣ハーフウェイライン手前から縦のパスをMFセペリーニ(Ceppelini, 1991)が落とし、拾ったFWクレイソンが縦にドリブル。FWデイヴェルソンとのタベーラを決めるとディフェンダー2人をかわしシュート。これがゴールネットを揺らす。
   FWクレイソンは、2022年8月から2023年6月までV・ファーレン長崎/JPNでプレーし、25試合4得点6アシストを記録。2023年6月30日にから移籍加入が発表され、2021年以来1年半ぶりにクイアバへの復帰を果たす。2023年7月8日全国選手権第14節クイアバ戦にクラブ再デビューを飾ると、7月22日第16節サンパウロ戦でPKで初得点。このゴールは2試合ぶりの得点となった。
(CUI)後半35分 :
自陣ゴール前からのフィードにハーフウェイライン付近でFWデイヴェルソンが競り勝つと、FWウェリントン・シウヴァがボールを拾い右サイドライン際をドリブルで駆け上がる。ゴールライン手前でディフェンダーをかわし中央へ切り込みながらクロス。駆け上がったFWデイヴェルソンが左足を合わせ、クイアバがダメ押しの3点目。
   FWウェリントン・シウヴァはフルミネンセ育成出身で2010年1月のコパ・ド・ブラジルで17歳にしてプロデビュー。2009年南米U-17選手権では2試合に出場。2010年にはアーセナル/ENGに移籍するもアーセナルでの出場はなく、レンタルとしてレバンテ/ESPやボルトン/ENGなどでプレーし、2016年にフルミネンセに復帰。その後、インテルナシオナウ、2021‐22年はガンバ大阪/JPNでプレーし、2023年2月17日にクイアバに加入。最近の試合ではベンチスタートが続いたが、スピードと切れ味のあるドリブルでアシストをマーク。ポジション争いの激化は必至だ。
   FWデイヴェルソンは全国選手権8ゴール目で得点ランキング2位に浮上。しかも、5月22日第7節以降11試合で全ゴールをマークしており勢いはとどまらない。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:42% 58%
シュート(枠内): 前半:11‐2 (4-1) ⇒ 前後半:16-9(7-4)
パス成功率: 前半:77% 87% ⇒ 前後半:80% 88%
   クイアバは、中盤選手の守備への貢献が高く、相手陣では前線のプレスに連動、自陣に引いた場面では最終ラインの一列前でブロックを構築し、ボール保持者への寄せを怠らず、フラメンゴに攻撃の形を作らせない。
   攻撃面では、前半3分、相手CBがボランチへ預けるボールを後方からVOLハニエリ(Raniele, 1996)が駆け上がりパスをカット、そのままシュートまで持ち込み、前半5分には相手陣右深くでプレスをかけボールを奪いシュートに持ち込むなど、守備を起点に攻撃へ素早く移行。前半7分にはCBアンペレウール(Empereur, 1994)のビルドアップを起点にシュート。前半22分、前半35分には相手を押し込みシュートで終わるなど、ポゼッションからもチャンスを作り出していく。
   前半は攻め込みながらも得点を奪えずにいたが、後半1分に先制すると、一気に畳みかけ、後半9分に追加点。
   その後は試合のテンポを落とし、守備に重点を置きながらもカウンターをうかがい、後半23分の好機は逸するものの、後半35分にダメ押しの3点目。
   結果、内容ともにフラメンゴを上回ったクイアバは、1引き分けを挟み5連勝。順位も8位にまで浮上し、リベルタドーレス出場圏の6位まで勝点差2まで追い上げてきた。
   次戦は、8月15日に全国選手権第19節アウェイでのアトレチコ・パラナエンセ戦。アトレチコは現在、勝点、勝利数で並び、得失点差の争いで順位は一つ上の7位。勝ち点3を勝ち取り上位進出の足掛かりとしたい。

   フラメンゴは、リベルタドーレスに挟まれ、控え選手を中心とした先発メンバー。とは言え、2022W杯のブラジル代表、ウルグアイ代表選手各1人を含め、代表経験者を6人を擁する豪華な顔ぶれ。
   しかし、相手の厳しいマークにミスを連発、相手陣に攻め込んだ局面もブロックの外をボールを繋ぎ、アイディア不足のクロスで終えるなど、チームとしての意思統一ができていない試合運び。
   CBダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)がドリブルで持ち込み相手のマークをずらし、CFペドロ(Pedro, 1997)が前後のフリーランニングでスペースを作り出すものの、他の選手がそのプレーをいかすことができず、スペースへの侵入や、そこにボールが送られるようなプレーは見られない。
   前半のシュートは、21分のCBダヴィ・ルイスの勢いのないミドルシュートと、アディショナルタイムのFWペドロのビシクレッタの2本のみ。
   後半の早い時間帯に失点を繰り返すと、相手が守備に重点を置いたことでボール支配率はさらに上がり、シュート数は増えたものの、最後までクイアバ守備網を崩すことができず0-3の敗戦。
   全国選手権の順位は2位を守ったものの、首位ボタフォゴとの勝点差は13に広がった。
   次戦は、中3日の8月10日にリベルタドーレス、リベルタとのアウェイでの2ndレグ。1stレグは1-0でリードしており、1点差を守り切りたい。
   全国選手権第19節は8月13日にホームにサンパウロを迎える。

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