【ブラジル全国選手権2023】第19節(2/2)

投稿者: | 2023年8月12日

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全国選手権第19節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第19節(1/2)
・2023/08/12 ボタフォゴ(BOT) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/08/13 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x バイーア(BAH)
・2023/08/13 コリンチャンス(COR) x コリチバ(CFC)
・2023/08/13 グレミオ(GRE) x フルミネンセ(FLU)
・2023/08/13 アメリカ・ミネイロ(AME) x ゴイアス(GOI)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/08/13 フラメンゴ(FLA) x サンパウロ(SAO)
2023/08/13 フォルタレーザ(FOR) x サントス(SAN)
2023/08/14 パウメイラス(PAL) x クルゼイロ(CRU)
2023/08/14 RBブラガンチーノ(RBB) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
2023/08/15 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x クイアバ(CUI)

全国選手権第19節 試合概要

フラメンゴ(FLA) 1-1 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=8v4JtoNq_yg
(SAO) : 38' #7 ルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)[#28 アラン・フランコ(Alan Franco, 1996)]
(FLA) : 90+6' #9 ペドロ(Pedro, 1997)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   フラメンゴは全国選手権9勝4分5敗勝点31の2位。
   サンパウロは全国選手権7勝5分6敗勝点26の9位。

得点シーン

(SAO)前半38分 :
MFルーカス・モウラが相手陣中央でCBアラン・フランコからボールを受けるとドリブルで縦に進出。ボランチのマークが甘く、するすると前進すると、間合いを詰めに来ないCB陣の手前から右足を振り抜く。ボールはゴール左隅に決まりサンパウロが先制。
   MFルーカス・モウラは、2011年、2016年コパ・アメリカなど代表35試合4得点の実績を持つ。サンパウロ下部組織出身で2010年8月8日の全国選手権で17歳のデビュー。2012/13年にパリサンジェルマン/FRA、2017/18年にトッテナム/ENGへ移籍。トッテナムとの合意退団後の2023年8月、サンパウロに11年ぶりの復帰を果たす。契約は今季末まで。前節2023年8月6日全国選手権第18節アトレチコ・ミネイロ戦で後半開始時にクラブ再デビューを果たすと、巧みなドリブルや視野の広さを生かしたパスで違いを作り出す。今節も攻撃の舵を取り復帰後の初得点を記録。
(FLA)後半45+6分 :
右サイドゴールライン手前でボールを受けたMFルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)がドリブルでペナルティエリアに侵入すると、相手ディフェンダーに倒されPKを獲得。これをFWペドロが右隅に決め、終了間際にフラメンゴが同点に追いつく。
   MFルイス・アラウージョは、サンパウロ下部組織出身で、2016年3月に期限付き移籍先のノヴォリゾンチーノから州選手権でデビューを果たす。同年の全国選手権開幕前にサンパウロに復帰すると多くの試合に出場、翌2017年初めにはレギュラーの座を獲得。すると、同年7月にリール/FRAへ移籍、134試合18得点8アシストの記録を残して、2021年、アトランタユナイテッド/USAへ移籍。ホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督の要請の下、2023年6月28日にフラメンゴが獲得。今節終了時点で9試合114分の出場。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:39% 61% ⇒ 前後半:48% 52%
シュート(枠内): 前半:4‐1(1-1) ⇒ 前後半:17-5(4-1)
パス成功率: 前半:88% 86% ⇒ 前後半:89% 87%
   フラメンゴは、週中にリベルタドーレス一回戦オリンピア/PAR戦2ndレグ。1stレグを1-0とリードし、2ndレグも先制したものの、左クロス、右CK、右CKとヘディングシュート3発で2点差のリードをひっくり返されリベルタドーレスを敗退。
   今節後も中2日でコパ・ド・ブラジル準決勝グレミオ戦が控える厳しい日程の中、先発メンバーはリベルタドーレスから4選手を変更、選手層の厚さもありほぼベストメンバーと言える豪華な先発陣。
   前半は、サンパウロにボールを持たせ、中盤のマークからのボール奪取やパスミスを誘い、素早くボールを運ぶ展開。しかし、効果的な攻撃を組み立てることができず、前半38分にマークミスが重なり個人技で先制を許す。
   先制を許した後は、積極的にボールを支配し、相手陣で試合を進める。相手陣でのボール奪取からのショートカウンターをみせると、ライン裏への抜け出しに柔らかく浮かしたパスを送るなど、得点に匂いがする展開が続き前半を終える。
   後半開始時に2選手を交代。違いを作り出していたMFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)を交代する。すると、ボールを支配し、相手陣に押し込む時間が続くものの、サンパウロ守備陣の前に攻めあぐね、ミドルレンジのシュートでプレーを終える場面が続き、この試合もアイディアに欠ける攻撃を展開。試合終了間際にMFルイス・アラウージョの個人技でPKを獲得し同点に追いつき、何とか勝ち点1を獲得した。
   今節の結果、全国選手権は4位に転落。
   次戦は、中2日の8月16日にコパ・ド・ブラジル準決勝グレミオ戦。1stレグを2-0でリードしており、すんなりと決勝進出を決めたい。
   全国選手権第20節は8月20日にアウェイでのコリチバ戦。

   サンパウロは、週中にコパ・スウアメリカーナのサン・ロレンツォ戦。1stレグを0-1で敗れたものの、ホームでの2ndレグを2-0と巻き返し準々決勝進出を決めた。今節後には中2日でコパ・ド・ブラジル準決勝コリンチャンスとの2ndレグが控えている。
   今節はカップ戦に挟まれた試合。若手選手、ケガ明けの選手、新加入選手を入り交えた先発メンバー。2022年に左SBとしてブレークしたものの3月の州選手権の試合中のケガで4か月間戦列を離れたウェリントン(Welington, 2001)や、初出場の前節アトレチコ・ミネイロ戦で違いを見せたFWルーカス・モウラ、元代表FWアレシャンドレ・パト(Alexandre Pato, 1989)らが名を連ねた。
   前半立ち上がりは中盤でのボールの奪い合いが激しくなるが、次第にボールを握る時間が長くなる。しかし、細かなミスでボールを失うことも多く、効果的な攻撃を組み立てることができない。一方で、ボールを奪われても、ケガ明けで一か月ぶりの先発となるVOLガブリエル・ネヴェス(Gabriel Neves, 1997)を中心に、中盤がしっかりとボールホルダーを囲い込み、ピンチを事前に防いでいく。
   攻撃面ではいいところがない中、前半38分、FWルーカス・モウラが個人技で先制。
   その後はフラメンゴがボール支配に重点を置き、ゴール前に押し込められる時間が続く。しかし、中を閉ざすことでフラメンゴはミドルレンジの強引なシュートを放つばかりとなりピンチらしいピンチは訪れない。
   一方で、後半30分には自陣からのカウンターで左SBウェリントンのクロスにFWフアン・サントス(Juan Santos, 2002)がダイレクトにシュート。後半33分には、右サイドからMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)がディフェンダーに囲まれながらも抜け出し、最後はMFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)がシュート。後半41分にも、MFハメス・ロドリゲスのスルーパスに抜け出したMFウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)がシュート。いずれも大きなチャンスとなったが、シュートは枠を越えていく。
   このまま試合を終えるかと思われた後半アディショナルタイム、ペナルティエリア内でのつまらないプレーで相手選手を倒しPKを献上。勝ち点3を逃す結果で試合を終えた。
   先発に加え、交代枠にも7月29日に加入が発表され初出場となるコロンビア代表で元レアルマドリード所属のMFハメス・ロドリゲス、6月27日のコパ・スウアメリカーナでの14分間の出場以来トップチームでは2試合目の出場となるVOLフェリピ・ネグルーチ(Felipe Negrucci, 2004)を起用し、ドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)監督はチーム内での競争を促進する。
   前年フラメンゴの指揮を執り、コパ・リベルタドーレスとコパ・ド・ブラジルを制覇したドリヴァウ・ジュニオール監督の目に、閉塞感に包まれた現在のフラメンゴはどのように映ったであろうか。そして、前年ドリヴァウ・ジュニオール監督の下でプレーした選手の目に、監督の采配はどのように映ったであろうか。
   次戦は、中2日で8月16日にコパ・ド・ブラジル準決勝コリンチャンス戦2ndレグ。アウェイでの1stレグを1-2で落としておりホームで巻き返したい。
   全国選手権第20節は8月19日に首位ボタフォゴをホームに迎える。
   さらに中4日でコパ・スウアメリカーナ準々決勝LDUキト/EQU戦1stレグ。厳しい日程の中、ドリヴァウ・ジュニオール監督の選手起用、試合での戦術に注目したい。

フォルタレーザ(FOR) 4-0 サントス(SAN)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=6U6rSYRv9EQ
(FOR) : 58' #39 マチューカ(Machuca, 2000)[#7 ポチェチーノ(Pochettino, 1996)]
(FOR) : 80' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(FOR) : 83' #8 カイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)[#22 ヤゴ・ピカチュー(Yago Picachu, 1992)]
(FOR) : 90+1' #6 ブルーノ・パシェッコ(Bruno Pacheco, 1991)[#17 ゼ・ウェリソン(Zé Welison, 1995)]

見どころ(試合前の順位)

   フォルタレーザは全国選手権6勝5分7敗勝点23の13位。
   サントスは全国選手権4勝6分8敗勝点18の17位。

得点シーン

(FOR)後半13分 :
自陣から攻撃の再構築を図り、ハーフウェイライン手前右寄りの位置からCBブリテス(Brítez, 1992)が縦にボールを送ると、MFポチェチーノがボールを受け前を向き、ペナルティマークに向け低いライナー性のパス。FWチアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)がスルーしたボールをFWマチューカがディフェンダーの前に入りペナルティマーク上でワントラップからシュート。これがゴール右隅に決まる。
   FWマチューカは、7月28日にフォルタレーザがウニオン/ARGから保有権の50%に対し250万USドル(約3億5000万円)で獲得、契約期間は2027年末まで。この試合が5試合目、週中のコパ・スウアメリカーナに続くスタメン出場で初得点を記録。左サイドのウィンガー。ドリブル、スピードが特長で、ゴールライン際までボールを運ぶチャンスメーカー。2000年生まれで伸びしろも大きく今後はフォルタレーザを牽引する役割も期待される。
(FOR)後半35分 :
FWギリェルミ(Guilherme, 1995)が蹴る左CK。ゴール前に上げたボールはCBチチー(Titi, 1988)をマークするディフェンダーに当たりゴールイン。
   FWギリェルミはグレミオ育成出身。多くの国内、中東クラブを渡り歩き、2023年2月7日にグレミオからの期限付き移籍でフォルタレーザに加入。今季は途中出場が中心となるが33試合4得点4アシストを記録。豊かな経験を生かしてリードした試合での投入が多い印象がある。
(FOR)後半38分 :
FWギリェルミが自陣左サイドライン際でのパスカットから相手陣に侵入し縦にスルーパス。これを受けたMFヤゴ・ピカチューがペナルティエリアゴールライン際まで持ち上がり中央へボールを送る。そこに走り込んだVOLカイオ・アレシャンドレがゴールにボールを押し込む。
   VOLカイオ・アレシャンドレはボタフォゴ育成出身で2020年1月の州選手権で19歳のデビューを果たすとそのままボランチに定着。同年は50試合に出場。翌2021年3月にバンクーバーホワイトキャップス/CANに移籍。しかし、カナダでは期待通りの活躍ができず。2022年8月に期限付き移籍でフォルタレーザに加入。ボランチとして、ボール奪取やパスカット、デュエル勝利数などの守備的な記録だけでなく、長短のパス成功率が高くや決定的なパス供給数も多い、今やフォルタレーザにとって欠かせない選手となっている。
(FOR)後半45+1分 :
相手陣深い位置からのスローインが流れ、MFヤゴ・ピカチューが至近距離からのシュート。これはGKが間合いを詰めブロック、ペナルティーエリア入口まで跳ね返ったボールをVOLゼ・ウェリソンが左にはたき、MFブルーノ・パシェッコがグラウンダーのシュート。
   MFブルーノ・パシェッコは、20歳の2012年にサンパウロ州選手権下位リーグのフェホヴィアーリアでデビュー。2017年にアトレチコ・ゴイアニエンセで初めて全国選手権1部に参戦するがレギュラーの座を獲得。。その後、シャペコエンセ、セアラーでもレギュラーとして活躍。2022年12月にフォルタレーザと2年契約を結び、フォルタレーザでもレギュラーの座を勝ち取っている。。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:54% 46%
シュート(枠内): 前半:9‐3(2-0) ⇒ 前後半:25-7(10-2)
パス成功率: 前半:82% 70% ⇒ 前後半:82% 78%
   フォルタレーザは、週中にコパ・スウアメリカーナ、リベルタ/PARとの2ndレグ。1stレグで1点のアドヴァンテージを獲得したものの前半終了間際に失点し2試合合計で同点に。しかし、後半アディショナルにFWマリーニョ(Marinho, 1990)のクラブ初ゴールで2試合合計を2-1とし準々決勝に駒を進めた。
   今節はリベルタ戦とほぼ同じ先発メンバーが組まれた。
   試合は立ち上がりからホームの歓声を後押しにサントスを圧倒。特に右サイドから右SBチンガ(Tinga, 1993)とFWマリーニョが次々とチャンスを生み出していく。しかし、深い位置からのクロスや中央での崩しは、中央に人数を割く堅固なサントス守備をこじ開けることができず前半を終了。
   後半も同様の展開が続く中、後半13分、ハーフウェイライン手前までボールを戻し、サントスの上りを待ってスペースを作ると、縦に速いパスを繋ぎ、ゴールを奪う。
   その後は、守備的になりつつ、カウンターのチャンスをうかがう展開。後半38分には相手のパスをカットしそのままカウンター、後半35分、後半45+1分にはセットプレーで追加点を奪い4-0の快勝。4得点は2023年5月4日のコパ・スウアメリカーナでの6得点、全国選手権では4月29日第3節フルミネンセ戦での4得点以来。
   この試合の結果、勝ち点を26に伸ばし、11位で全国選手権前半戦を終了。リベルタドーレス出場圏の6位までの勝点差は5。コパ・スウアメリカーナと並行した厳しい日程となるが、今節の勢いをもって後半戦での巻き返しを図りたい。
   次戦は、全国選手権第20節が8月19日にアウェイでのインテルナシオナウ戦。その後、コパ・スウアメリカーナ準々決勝のアメリカ・ミネイロ1stレグが中4日で控えている。

   サントスは前節終了後パウロ・トゥーハ(Paulo Turra)監督を解任。新監督にウルグアイ国籍のディエゴ・アギーレ(Diego Aguirre)監督が就任。パウロ・トゥーハ監督は1勝3分3敗の成績でクラブを去った。なお、ディエゴ・アギーレは2021年以降8人目の監督。
   今節は3選手が警告累積で出場停止。新加入のFWフリオ・フルチ(Julio Furch, 1989)を3試合目にして初先発に起用。
   しかし、攻撃面は今まで同様、相手に押し込まれ前線が孤立する形となり、初先発のFWフリオ・フルチもなすすべがない。守備面はゴール前をツーラインで固め、スペースを消し、サイドからのクロスは敢えて寄せに行かず、ゴール前で跳ね返していく。
   後半途中までは何とかしのいだものの後半13分に失点。後半35分以降に、CKでの不用意なオウンゴール、相手陣に入ったところでのパスミスからのカウンター、ブロックのためにジャンプしたところを足元を抜かれたシュートと、集中力を欠いたプレーが続き失点を重ね0-4の完敗。
   パウロ・トゥーハ監督就任後に、複数の選手との契約を解除、新加入選手も前監督の意見を元に揃えたが、移籍期間も終え、アギーレ新監督は現状の戦力で遣り繰りしなければならない。
   過去に降格を経験したことのないサントスだが、全国選手権前半戦を降格圏の17位で終えた。
   次戦は、8月20日に全国選手権第20節ホームにグレミオを迎える。

パウメイラス(PAL) 1-0 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=8QG-PFHCsoQ
(PAL) : 90+6' #18 フラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)[#23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)]

見どころ(試合前の順位)

   パウメイラスは全国選手権8勝7分3敗勝点31の4位。
   クルゼイロは全国選手権6勝6分6敗勝点24の11位。

得点シーン

(PAL)後半45+6分 :
右サイドライン際浅い位置からのFK。MFハファエウ・ヴェイガがゴール前にボールを上げると、FWフラッコ・ロペスが瞬間的なスピードで一人抜け出し、足でコースを変えゴール。土壇場でパウメイラスの決勝点。
   FWフラッコ・ロペスは、ラヌース/ARGから2021年1月3日のコパ・アルヘンティーナで20歳のデビュー。翌戦1月9日のロサリオ/ARG戦で先発に抜擢されるとプロ初ゴールをマーク(この試合には現フィオレンティーナ/ITA、2023U-20W杯4試合1得点のMFヒノ・インファンティーノ(Gino Infantino)も16歳で出場)。ラヌースでは一年半で58試合22得点5アシストを記録。2022年6月にパウメイラスが1000万USドル(約14億円)で獲得。2022年7月21日の全国選手権でクラブデビュー、7月30日第20節セアラー戦でクラブ初ゴールをマーク。9月3日第25節までは順調に試合出場を果たすものの、次第に出場機会を失っていく。2023年も序盤はベンチを温める試合が続くが、4月5日のリベルタドーレスにスタメン出場を皮切りに4試合連続出場、連続得点を記録。188㎝の高さと、左足からのシュート力が持ち味。しかし、チームはスピードのある前線が全体を前に引っ張る戦術で成功している中、スタメンに定着できず途中交代での出場を繰り返している。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:54% 46%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:11-11(4-4)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:81% 81%
   パウメイラスは、週中のリベルタドーレスでアトレチコ・ミネイロを相手に0-0の引き分け、1stレグのアドヴァンテージを守り切り準々決勝に駒を進めた。今節の先発メンバーは、体調が万全と言えないFWドゥドゥ(Dudu, 1992)がリベルタドーレスに専念し欠場、GKウェヴェルトン(Weverton, 1987)が警告累積で出場停止。MFジョンジョン(Jhon Jhon, 2002)、GKマルセロ・ロンバ(Marcelo Lomba, 1986)が穴を埋める。
   試合は、クルゼイロが引いた陣形を取り、ボールを持たされる形となる。相手陣でボールを回すものの攻撃の糸口を掴めず、たびたびクルゼイロのカウンターでピンチを招くが、前半は0-0のまま終了。
   後半に入り、FKからFWアルトゥール(Artur, 1998)のゴール前で足を合わせたシュートなど、得意のセットプレーからチャンスを迎えるが得点を奪えない。後半19分に攻撃的なポジションの3選手を交代し閉塞感のある攻撃の打開を図るが大きくは好転しない。後半36分に高さのあるFWフラッコ・ロペスを投入。その采配が的中し、後半アディショナルタイムの実質的に最後のプレーでFWフラッコ・ロペスがゴール。
   苦しみながらも勝ち点3を獲得したパウメイラス。勝ち点を34に伸ばし、暫定2位で全国選手権前半戦を終了。首位ボタフォゴまでの勝点差は13と逆転優勝には厳しい状況だが、前年覇者として最後まで全国選手権を盛り上げたい。
   次戦は、8月19日にアウェイでの全国選手権第20節クイアバ戦。その後中3日でリベルタドーレス準々決勝デポルティーボ・ペレイラ/PERとの1stレグが控える。

   クルゼイロは、予想に反して守備的な試合運び。立ち上がりこそ相手陣でボールを繋ぎファーストシュートに持ち込んだものの、以降はコンパクトな陣形を保ち、相手にボールを持たせる形を選択。ボールを握ると、適度な距離のパスを繋ぎ相手陣にボールを運ぶも、パウメイラスのスピードのあるカウンターを警戒し、早めにシュートを放ちプレーを終える。前半28分には右SBウィリアン(William, 1995)がミドルレンジのシュート、これがディフェンダーに当たり縦回転となり、ゴール前で落ちるシュートとなるがパウメイラスGKマルセロ・ロンバの好セーブにゴールを割ることができない。
   後半26分、VOLルーカス・シウヴァ(Lucas Silva, 1993)が中盤でボールの奪い合いに競り勝ち、前を向いて前線にスルーパス。FWウェズレイ(Wesley, 1999)が抜け出しシュートを放つがゴール枠を越える。
   後半は26分の場面以外に大きなチャンスを迎えることもなく、アウェイで引き分けに持ち込むかと思われたラストプレーで失点。土壇場で勝ち点を逃がすこととなった。
   この結果、全国選手権前半戦は勝ち点24の12位。州選手権敗退後に就任したペパ(Pepa)監督の戦術が浸透し、序盤はリベルタドーレス出場圏内をキープするも、中盤の主力選手の離脱や、ボールを支配し多くのシュートを放ちながらも得点が奪えない試合が続き、現在に至る。7月の移籍ウィンドウではFW陣を中心に血の入れ替えを実施、後半戦に向け、コンパクトな陣形からパス回しを中心とした綺麗なサッカーの復活を期待したい。
   次戦は、8月19日に全国選手権第20節コリンチャンスをホームに迎える。

RBブラガンチーノ(RBB) 1-1 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=D1W9DUk-x-I
(VAS) : 32' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[PK]
(RBB) : 45+8' #22 グスタヴィーニョ(Gustavinho, 2004)[]

見どころ(試合前の順位)

   RBブラガンチーノは全国選手権8勝7分3敗勝点31の5位。
   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権3勝3分11敗勝点12の19位。

得点シーン

(VAS)前半32分 :
敵陣深く左サイドからのスローイン。ペナルティーエリア内でボールを受けたFWベヘッチがFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)とのタベーラの戻りを受けると、相手ディフェンダーに倒される。主審はプレー続行を命じるも、VARによる検証の結果、PKを獲得。これを倒されたFWベヘッチ自らが決め、ヴァスコ・ダ・ガマが先制。
   FWベヘッチは、2023年アルゼンチンリーグ得点王。8月に入り110万USドル(約1億5000万円)の移籍金でベルグラーノ/ARGから加入。前節8月6日全国選手権第18節グレミオ戦でクラブデビューを飾り、決勝点となる初ゴールをマーク。今節も自ら得たPKで早くも2得点。期待に違わぬ活躍を見せている。
(RBB)前半45+8分 :
右CKはディフェンダーにクリアされるが、ペナルティエリア入口に位置取ったMFグスタヴィーニョがダイレクトにミート重視した振りのシュート。GKの手に当たりながらもボールはゴールネットを揺らし、前半終了間際にRBブラガンチーノが同点に追いつく。
   MFグスタヴィーニョは、2021年にゴイアスU-17からRBブラガンチーノU-17に移籍。2023年1月18日の州選手権で18歳のプロデビュー。途中交代出場を中心に試合経験を積み、今節終了後で32試合(先発9試合)4得点1アシスト。全国選手権では初ゴールとなった。小柄な体形を生かした俊敏性とドリブルが特長。ポジショニングがよくチャンスメーカーとして活躍が期待される。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:22-8(7-4)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:83% 70%
   RBブラガンチーノは、週中のコパ・スウアメリカーナでアメリカ・ミネイロを相手に、常にリードを奪う展開ながら、試合終了間際にPKで同点に追いつかれ3-3の引き分け。2試合合計4-4となり準々決勝を賭けたPK戦に敗れコパ・スウアメリカーナ敗退。
   試合は、RBブラガンチーノは好調なFWソヒーゾ(Sorriso, 2001)が右サイドから次々とシュートやクロスを放つが、精度に欠け得点に結びつかない。一方で、ヴァスコ・ダ・ガマの左サイドを起点にした攻撃に押し込まれる時間帯もたびたび訪れ、押し込まれた時間帯にPKを献上し先制点を奪われる。
   先制後は、再び攻勢に出るが、シュートやクロスの精度は上がらない。
   しかし、前半終了間際に、セットプレーから同点に追いつく。
   後半に入り、前半同様の展開が続く中、後半11分、直前のヴァスコ・ダ・ガマの右サイドの攻撃力を高める3選手の交代に対抗するかの、左サイドのSB、MF、FWを一気に交代。前半の右サイド寄りな攻撃から左サイド寄りの攻撃に軸足を移す。この交代は、ヴァスコの意図を崩す効果を発揮、ボール支配率を高め、前半以上に相手ゴールに迫るが、ヴァスコが次第に守備的になったこともあり、ゴールは生まれない。
   試合はこのまま1-1の引き分け。勝ち点1を積み上げ32に。全国選手権前半戦を5位で終えたものの、引き分けが8、下位チームとの対戦でも勝ち切れない試合が多く、ケガ人の復帰、発生が相次ぎ、核となる選手を固定できない状況に陥っている。
   次戦は、全国選手権第20節アウェイでのバイーア戦が8月20日に予定されている。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、ラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督の就任後1勝2敗。3試合いずれもフォーメーションや起用選手を変えながら模索を続けている中、前節グレミオ戦では就任後の初勝利を無失点で飾り、最下位を脱出した。
   今節の先発メンバーは、前節同様、メデル(Medel, 1987)を最終ラインで起用。右SBに本職がCBのホビソン・バンブー(Robson Bambu, 1997)を配置、4バックながら3人のCBを起用して守備面の安定を図る。
   前半は、五分五分の内容。立ち上がりに前半2分に左CKからの流れで初シュート。しかし、ボールに勢いがなくGKがキャッチ。その1分後には、右サイドを縦にボールを運ばれ左サイドに展開されシュートを許す。一進一退の攻防が続く中、前半26分にFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)がミドルシュート、これはGKがパンチングでタッチラインに逃れるが、続くスローインからの流れでPKを獲得。先制点を奪う。
   先制後は押し込まれながらもカウンターを狙い、前半アディショナルタイムに二度大きなチャンスを迎えるが、仕留めることができない。すると、セットプレーから失点。
   後半に入り、イエローカードを受けたことからVOLマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)をベンチに退けると、中盤でボールを奪えなくなり、後半11分に攻撃の起点となるサイドを変える選手交代を実施するも効果を発揮せず、試合の主導権をRBブラガンチーノに握られ続ける。結局後半は勢いのないミドルレンジのシュートを放つのみに終わり、なんとか勝ち点1を確保。
   この結果、全国選手権は1試合未消化の状況で勝ち点13の19位。降格圏脱出までの勝点差は5。守備面は、2試合続けて押し込まれる時間が長く続く中、1失点にとどめる成果が現れつつある。攻撃面では、中盤でのボール保持を高め、2試合2得点のFWベヘッチを軸にゴールに迫りたい。
   次戦は、8月20日に全国選手権第20節ホームでのアトレチコ・ミネイロ戦。

アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 2-0 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=9zJuFDDwvrQ
(CAP) : 45' #14 カノービオ(Canobbio, 1998)[#2 ケウヴィン(Khellven, 2001)]
(CAP) : 82' #10 ブルーノ・ザペリ(Bruno Zapelli, 2002)[#28 クエージョ(Cuello, 2000)]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権8勝4分6敗勝点28の7位。
   クイアバは全国選手権8勝4分6敗勝点28の8位。

得点シーン

(CAP)前半45分 :
右サイドライン際からのSBケウヴィンのクロスに、ゴールエリア左角やや外でフリーとなったFWカノービオが頭を合わせアトレチコ・パラナエンセが先制。
   FWカノービオは2022W杯などウルグアイ代表として7試合に出場。2017年U-20南米ユース選手権(8試合)、2017年U-20W杯(7試合)代表。2022年3月にペニャロール/URUからアトレチコ・パラナエンセに加入。確かな戦術眼と豊富な運動量、献身的な守備でアトレチコ・パラナエンセの中核として活躍中。今季は今節終了時点で40試合5得点5アシスト。代表で3試合に出場。
(CAP)後半37分 :
自陣からのボールを受けたFWカノービオがドリブルで前進後にFWクエージョにボールを送る。左サイドライン手前でボールを受けたFWクエージョはペナルティエリアに向かいドリブル。中でMFブルーノ・ザペリがフリーでいることを確認し、ボールを渡す。MFブルーノ・ザペリは前後からディフェンダーに詰められる前にシュート。アトレチコ・パラナエンセが貴重な追加点を奪う。
   MFブルーノ・ザペリは、2023年7月21日にベルグラーノ/ARGからの入団が発表されたばかりのアルゼンチン国籍選手。移籍金は保有権の50%に対し400万USドル(約5億6000万円)。契約条項にゴールに繋がるパスをインセンティブにすることを要求するほど、得点に関与することに自信を持ち、短いパスだけでなく30~40mのパスの精度も高い。このゴールが3試合目の実戦での初ゴールで初めての得点関与。背番号10を与えられたクラッキの前途は明るい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:55% 45%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:12-12(6-1)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:84% 82%
   アトレチコ・パラナエンセは、週中のリベルタドーレスで1stレグの2点のビハインドをホームで巻き返したものの、残念ながらPK戦の末敗退。今後は全国選手権に専念することになった。
   試合開始早々の3分、MFヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)のミドルシュートがクイアバGKヴァウテル(Walter, 1987)を襲うが、その後は勢いを失っていく。左サイドのFWカノービオを中心に攻撃を重ねるが決定的なシーンを迎えることができず時間が経過していく。しかし、前半終了間際の45分、右サイドからのクロスにFWカノービオが頭を合わせ先制。
   後半に入っても追加点を奪う姿勢をみせる。後半2分にFWヴィトル・ホッキが相手のクロスボールのクリアミスを拾いシュートを放つがGKの正面を突く。後半8分にはGKのCBに預けるボールを背後から奪ったVOLアルトゥーロ・ビダル(Arturo Vidal, 1987)がそのままシュート。ボールはゴールネットを揺らすがVARでファールが確認されゴールは認められない。
   その後、クイアバのカウンターを受ける場面もあり、試合のテンポを落ち着かせ守備的な陣容へ。後半37分、相手選手がピッチ外で治療を受け数的有利に立つ隙に待望の追加点。2-0で完勝を収めた。
   この結果、勝ち点を31に伸ばし、リベルタドーレス出場圏の6位に浮上。想定外の監督交代があり少し混乱した全国選手権前半戦だったが、最低限の順位で後半戦に挑むことになった。
   次戦は、8月21日に全国選手権第20節アウェイでのゴイアス戦。

   クイアバは、アトレチコ・パラナエンセにボールを支配され自陣で守備を固める展開。ボール奪取からカウンターを繰り出すも、シュートを急ぎすぎ、チャンスらしいチャンスを迎えることができない。
   前半終了間際に失点し後半を迎えると、前がかりになったところを単純なボールロストから2度に渡りピンチを招く。その後は、相手が守備的になったこともあり攻撃に軸が移る。後半23分、相手陣浅い位置からのFKをFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)がゴールライン際で頭でゴール前にボールを落とす。2選手が飛び込むも足を合わせることができない。この試合最大のチャンスを逸すると、その後は攻めあぐね、後半37分に追加点を奪われ、あえなく0-2の敗戦。
   1引分けを挟み5連勝だったが、小休止。全国選手権前半戦は中盤まで降格圏前後の順位だったが、アントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督就任後は6勝3分3敗と巻き返し、リベルタドーレス出場圏まで勝点差3の8位で折り返し。この勢いを保ちクラブ史上最高位で選手権を終えたい。
   次戦は、8月19日に全国選手権第20節ホームでのパウメイラス戦。

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